ビアトリクス・ポターの地で英語を最初に習った先生が大好きで真似してみた結果

中一で初めて英語を教えてくれた先生が

大好きだった。

中高年で独身で、英語を教える事を楽しん

ではいたけど、どこか生徒を寄せ付けない

雰囲気を持つ人。

 

それまで私の周囲にはいなかったタイプの

聡明で孤独で素敵な女性だった。

彼女と接したいあまり、いつも質問をしに

行った私は、若干辟易とされている節もあ

った。

 

リスニングの授業で洋楽を教材にしてくれ

たりと、彼女は独自の授業を展開していた。

講義がわかりやすいだけでなく、実際に英語

を話せる先生だった。

 

 

ある日、先生がイギリスの湖水地方に一人旅

をした時の話をしてくれた。

私はピーターラビットの絵が好きだったので、

その土地にとても興味を持った。

大人になったら必ず行ってみようと思った。

 

社会人になった私は、友人とイタリア周遊を

したあと、一人でイギリスに向かった。

初めて訪れる国でさすがに一人はきつかった。

 

ヒースロー空港で市内行きのバスを訪ねるの

に英語がうまく出てこなかったり、(こんな

時、そばに日本人が奇跡的に立っている)

ロンドンの観光案内所のお兄さんがとても

早口で内容が聞き取れなかったり。

 

それでもなんとか湖水地方まで一人で行き、

ピーターラビットの聖地を楽しむ事ができた。

羊が沢山いる丘。グレーの石垣。お目当の湖。

新緑の中に建つユースホステルも情景の一部

で可愛らしかった。

 

景色も良かったけれど、やはり思い出に残る

のは人との交流。

ユースで宿泊した翌朝のダイニングでは、他の

国から来た人達と同席した。

一人旅の仏女性、一人旅のニュージーランド

男性、オランダからのカップルで賑わった。

 

朝食後に漢字を書いてと言われ、書いて意味を

説明したので文化交流と言えなくもない。

 

イギリス滞在は短かったが、その時、西洋人は

見かけは違っても同じように喜怒哀楽があるん

だなと肌で感じる事ができた。

 

映画を何度観ても体験できない感覚。

若者が留学を避けて海外生活を望まない昨今。

異国の地に自分を置いてみるのをお勧めしたい。

 

今の私には国境も人種の壁もないが、先生の

真似をして得たこの経験は、多様性を許容する

第一歩だったなあと思う。

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