どちらかと言えば過干渉で育った幼い頃、
母と祖母が交代で絵本の読み聞かせをして
くれていたように思う。
読んでもらった事や、その本を暗記した私
が、物語を逆に家族に話していた事は、私
自身の記憶ではなく、後からこんな風だっ
たのよ、と言われて思い出になっている様
な気がする。
小学校1年生の時は、国語が専門の温厚な
先生が担任で、読書カードを作ってくれた。
カードと言ってもA4位の大きさだった。
1冊読むと、折り紙を切った札を貼ってもら
え、10冊、20冊と区切りごとに銀紙、金紙
と色が変わって昇格していく。
自己申告制だったけれど、当時はひとりで
本を次々に読んで先生に報告し、綺麗な色
の紙をたくさん貼ってもらうのが楽しみだ
った。
中学生になると電車で学校に通う様になり
地元の友達と疎遠になってしまった。
休日はほぼ一日中本を読んでいる事もあっ
た時期だ。あんなに集中して読み続ける事
は、もはや一生できないと思う。
私が本というと脳裏に浮かぶ光景は、まだ
両親と川の字になって寝ていた頃の記憶。
部屋の明かりを消しても、枕元のスタンド
を点けて遅くまで本や雑誌を読んでいた父
の横顔が忘れられない。
父が亡くなって10年経とうとしている今も
本と言えばよみがえる思い出です。