旅の醍醐味は同じ場所を再び訪れるという事-ズッキーニ編

旅の醍醐味は同じ場所を再び訪れることと
かの兼高かおるさんがおっしゃったとか。

イタリアを初めてツアーで旅行した際、
連れていかれるレストランは、どれも
観光客用の料理が美味しいとは言えない
店ばかりだった。

ローマでもベネチアでもフィレンツェ
でも。
せっかく本場で食べれるイタリア料理を
楽しみに遠路はるばるやって来たのに
ガッカリした記憶がある。

そして自由時間に一軒だけ日本で教わっ
てきたレストランに行ってみた。
そこはフェラガモのフィレンツェ本店か
ら曲がりくねった路地裏に位置する店。
開店前から地元民らしき人たちが列を
つくって待っている。

並んだかいあって、注文した料理は
どれも素晴らしかった。
地元民、世界中からの観光客、留学生
と入り混じった店内は活気にあふれて
いる。
ヨーロッパの他国から来ている学生達
とも話せ、とても良い時間を過ごせた。

そして忙しい現場を仕切っていた店主
の息子ジョバンニをつかまえ、一緒に
写真をとろう、と私は誘った。

東京でイタリアンボーグのモデルだと
いうビンチェントと会った時は、(帰国
して確かめたら、本当にヴォーグに
載っていた!)その見目麗しいお姿に
握手するのにも緊張感を覚えたものだ。

一方、ジョバンニは30代位でお腹が
せり出たクマさん体型。(店が繁盛して
いるのでお金持ちだと思うが)
彼は愛想よく肩を寄せ合い私とふたりで
写真におさまった。

1年経って再びジョバンニのいるその
店を訪れる機会に私は恵まれた。
個人的にラヴな感情はまったく彼に
持っていなかったが、料理が美味しか
った記憶と写真を持ってきたよ、と彼に
見せたい気持ちが、私をひとりで開店準備
中の店に向かわせた

いきなり来店したにもかかわらず、
ジョバンニは私を快く迎え入れてくれ
写真をプレゼントすると、
「お昼食べた?」と私に気さくに聞き、
「まだ、これから。」と答えると
「作るよ。」と言って、
ズッキーニの炒め物を作ってパン
と一緒に出してくれた。🥖

写真を渡すついでにポンテベッキオ
辺りをぶらつこうかなどと考えて、
何も期待していなかっただけに、
感動した。

塩で味付けしただけのオリーブ
オイルの炒め物がやけに美味しくて
日本に帰ってからも何度か真似して
作った。

それから20年。彼とはそれきりだが
今も思い出として鮮明に脳裏に焼き
付いている。

色々と立派な建物や美術品を観ては
いたが、やはり心に残るのは人との
交流。
また懐かしい人を訪ねる旅を始めた
いと思う今日この頃です。

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