ひと気のないドゥオモの前でー世界を思う

今日は色々見聞きして泣いた。


NY最前線で働く医療従事者のブログ。

医療現場の現状のみならず、同僚や

家族の死に直面しても働き続ける姿を

綴ったものだった。


それを読み終えて、偶然みつけた

アンドレア・ボチェッリの動画。

20年位前にCDを買った、イタリア 

テノール歌手の見た目の変貌ぶりに

驚いたが、それはおいておいて。


ひと気の無いミラノの大聖堂の前で

彼が一人ポツンと立って歌いあげる

アメージンググレイスに感動せざる

を得ない。


ミラノのドゥオモには私は1度か2度

訪れたことがあるだけで、滞在時間も

短かったけれど、

そこで目にした小さなロウソクの灯や

暗い空間に満ちている冷んやりとした

空気を、25年以上経った今でも思い

出すことができる。


いまアソコに人はいない。

そんな非常事態を歌声と画面からひし

ひしと感じた。


YouTubeはイタリア からパリへ画像を

移し、ロンドン、ニューヨークの街の

様子も映し出す。


私がロンドンの街中に降り立った時は

夕方のラッシュアワーで、勤め人達の

流れに押されるように、歩いた。


いまアソコに人はいない。


NYではタイムズスクエアだけ映って

いたように思う。ひと気のない街並

も衝撃だったが、

なにより、あのセントラルパークに

白いテントが設営された時は、

私のように遠い異国の地に居ても

ショックは大きかった。


地元の人の驚きはいかばかりか。


セントラルパークの仮設遊園地で

子供たちを遊ばせた、美しい夏。

キザな表現だけど緑の中でくつろぐ

ニューヨーカー達が私の最後の記憶

だったのに。


モルックというスポーツに出会って

人と人をつなぐ素晴らしいツールに

なるとすぐに感じた3年前。


こんなにも世界が分断される事を

誰が予測しえたか。


日本中をつなぎ、世界の国々とも

つながり、真のモルック世界大会

をしたいと真面目に考えていた。


お金と時間さえつくれば、飛行機に

乗ってNYでもチェコでも行けた環境

尊い


北イタリアの友人にそのスポーツの

動画を以前観てもらい、面白そうと

言ってもらえた。

今夏、道具をかついで会いに行き、

彼女の近所の人たちにも競技を伝授

しようという目論見は消えた。


その友人から状況をきくことすら

ままならない今。


アンドレアに浸ったあと、

カニエウエストが大コーラス隊を

従える動画を観た。

当然これはビフォーコロナに撮った

もの。


ハレルヤの他に、ドゥービーブラ

ザースやエルトン・ジョンの曲等

ただのゴスペル隊とは違い、様々

な歌をきかせくれる。


コンサート会場で指揮者を何重にも

囲むサークル型の合唱隊。


肩を寄せ合い、思い切り声を張り上げ

美しいハーモニーを作り出す。


今は到底できないこと。


その合唱隊の一部の人達と共に

カニエが刑務所を訪れて、ラップを

披露する映像もある。


映画でよく見るオレンジ色の囚人服に

身を包んだ人達が感激して涙したり、

盛り上がっている。


驚いたのはステージは設置されて

おらず、至近距離で手を伸ばせば届く

位置で歌い続けていた。


たまにテレビで見かける日本の刑務所

の様子とはまるで違う。

私が見た時は、演歌歌手が前で歌い、

囚人は行儀よく椅子に腰掛けて音楽に

浸っていた。


アメリカの場合は、同じフロアにお互い

立ったまま。

曲に合わせて体を動かしたり、手を挙げ

たり、とにかく与えられた者、与えた者

両方にとって、一生の思い出になった

ことは間違いない。


いまは、こういった交流もできない。


でも、必ず笑顔でリアルに交流を再開

できると信じて、我々は生き延びる策

を考えるしかない。


経済の傾きで、生きない選択をする事

だけは避けたい。

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