できない子ほど可愛いというのはある意味本当

リーマンショックで派遣切りにあったのち

塾で教えていたことがある。

生徒の大半は高校受験前の中学生だった。

 

中学三年生ともなると、ほぼ勉強の仕方など

個々に決まってしまっているもので、

教師としてできることは限られる。

 

できる子は放っておいてもできるし、

できない子は相当苦労する。

できる、できないの二分した言い方は

好ましくないが、受験目前に親御さんが

どうにかして欲しいと入塾させて本人も

渋々通っている場合と

基礎は一通りできていて、仕上げとして

塾に来ている子では全く状況が違う。

 

こちらとしては、なかなか点を取れない

生徒にアドバイスはできるが言わずもがな

あくまでも本人次第。

私も師匠によく、水辺までは連れて行くが

首を伸ばして飲むのは自分でだからと

言われた。

 

 

例えば英語。中一で初めて英語に接する時、

それを教える学校の先生との相性が影響する

と私は思う。

先生が楽しんでいないと英語も楽しく感じ

られない。

残念なことに有名私立中学校でも楽しい授業

を受けられずに英語嫌いになることはある。

 

私が教える中で、稀に科目の魅力を伝えて

生徒の心に響くことがあった。

英語ってこんなに合理的な言葉なんだよ、とか

中学で習う単語で外国の人と話せるよ、等と

話していくうちに、勉強の仕方も提案通りに

変えて成績が上がった女の子がいた。

 

彼女は希望校に合格し、母親からも感謝された。

本人の努力の賜物だし、その子の事は忘れ難い。

 

ただ、更に忘れ難いというか、どうしてるかな

と気になるのはOくんとU子ちゃん。

Oくんは中高一貫校で有名な公立中学に通って

いた。

小学生の頃は勉強に励んで合格したのだろう。

私が出会った時は、中学の授業についていけなく

なっていた。

高校はそのまま上には上がれず、都立の高校に

進学したが、彼の話に出てくる先生や生徒から

活気のある学校生活は感じられなかった。

 

彼自身も勉強はもう二の次で居酒屋で

アルバイトを始めた。

それでも塾は続けていて、近況は聞かせてくれて

いた。

 

一方でU子ちゃん。やはり地元では有名な私立の

中高一貫校に通っていた。

彼女の場合は学校自体に馴染めず、一日誰とも

話さずに下校することが常であった。

私にも最初は気の無い返事をするだけの態度

だったが、授業を重ねていくうちに、家族の事や

興味のあることを話してくれるようになった。

 

彼女もまた、進学できるかできないかの瀬戸際で

塾に現れ、通信制高校を選ぶ結果となった。

U子ちゃんが中学を卒業する頃、Oくんも高校

1年の最後で塾をやめた。

 

二人とももう少しの間、塾に通ってくれるのか

と思っていて急にいなくなったので余計心に

残っているのかもしれない。

カリキュラムが進む、進まないを別として、

学校や勉強の進捗、今何に興味があって何を

しているのが楽しいのか、もっと継続して聞きた

かった。

 

あれから数年経って20代前半となったふたり。

どうしているのか、春になると気になります。

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