声が伝えるもの

声が伝える情報は意外と多い。


対面だとニコニコ顔にだまされる

こともあるが、電話の声は正直だ。


毎日のように話している同僚や、

離れていても普段の声を知る家族

や友人の場合、相手の体調や機嫌

を電話から察知することは難しく

ない。


長年声を発したり、話を傾聴する

仕事に携わっている間に特にそれを

感じるようになった。


人の気持ちはうつろいやすい。

そしてその変化は声に表れている。

意識するしないに関わらず、顔の

見えない相手には、よく伝わるの

である。


仕事では、相手が面倒だと思う事を

電話で確認しなければならない業務

の場合、できるだけ心地よいと感じ

てもらえるであろう高さのトーンで

発声するようにしている。


早く切りたいと思わせずに、最後

まで落ち着いて聴いて納得して頂く

ための小さな工夫だ。


勿論相手が時間に追われている状況

であれば、それに合わせてこちらも

話す。

忙しいとか急いでいると推測するの

も声からの情報が大きい。


どんな状況でも愛のある声でいたい

とは思うが、自分が急いでいる時に

わずらわされたと感じる電話の相手

に対して、穏やかな声を出せるか。


実際に穏やかな声で終始対応できる

人は存在する。才能と言ってもよい。


逆にイライラを声に込めてこちらに

ぶつけられた場合、その苛立ちが

伝染して暫く嫌な気分を抱える事

も時折ある。


言葉の内容以前に、発せられた空気

が爽やかなのか、どんよりしている

のか声に色がついていたらと思うと

ぞっとしないでもない。


でもきっと空中では、善意からの声、

悪意のある声、冷たい声、暖かい声

がバランスをとっている、と思いたい。


現実は、かたよっている場所が沢山

あるのだろうけれど。


SNSの発信だけでなく、自分の発する

声に心をこめてみよう。

心のこもった何かが伝わっていく事は

間違いない。

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