山下達郎

クリスマスシーズンになると

TVや、友人のメッセージから

流れてきて意識せざるを得ない

達郎の曲。

 

達郎を知ったのは学生時代。

元四国の暴走族で慶応ボーイの

お兄さんが、カセットテープに

達郎の曲だけを入れて誕生日に

プレゼントしてくれた。

 

当時私は女子だけの学校に通って

いた。

ESS部に所属しており、英語劇を

するにあたって、演技指導の他に

照明、音響といった私達だけでは

こなせないところを、慶応大学の

ESSメンバーが手伝いに来てくれ

たのだ。

 

その時に知り合った、元暴走族で

特待生でカーリーヘアの青年。

 

ほとんどの女子生徒は、いかにも

慶応ボーイといったイケメン細身の

他のコーチに熱をあげていたが、

私はなぜか小太りカーリーヘアと

気があって、よく話していた。

 

初めはミキサーとしての技を伝授

してもらう立場で関わった。

音楽の話も色々したのかどうか?

会話の内容はほとんど覚えていない。

 

ただ、もっと痩せた方がいいよ、と

私が憎まれ口をきいた結果、

カーリーの

「お前の顔を浮かべながら腕立て伏せ

やってるよ。」とか、

私が一つ一つ言葉を選びながら話して

いた時、イラついて、

「物を考えながら喋るなよ。」

といったセリフを映像ごと断片的に

記憶している。

 

そして私の誕生日が過ぎたある日、

「これ。」と

差し出されたのが山下達郎のテープ。

「今はお金がなくて、こんなのしか

渡せないけど。」

と言ってくれた。

 

選曲された逹瑯の曲はどれもよくて、

ステキなプレゼントだった。

 

数ヶ月に及んだお手伝いの最後の日、

みんなからもらった花束を手に

めちゃくちゃ照れている彼を覚えて

いる。

 

彼とはそれ以来、会うこともなく、

ただ音楽好きの彼らしく、就職先は

FM東京だと噂で知った。

 

就職してからも会う機会があったら

次の誕生日には、より良い物をくれ

たんだろうか。

そもそも私をどう思ってくれてたのか。

 

今となっては確かめようのない仕様もない

疑問の数々。

 

なにより私はカーリーをどう思っていた

のか。

ただ年上の師匠と慕っていただけなのか

それ以上の気持ちがあったのかどうか。

 

よくわからない甘酸っぱい思い出は

逹瑯のクリスマス・イブを聴くと

呼び起こされる。

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